HACCPに沿った衛生管理の制度化
2021年6月1日から、原則としてすべての食品等事業者の皆様にHACCPに沿った衛生管理に替わります。
HACCPってそもそも何のこと?
1960 年代に、宇宙食の安全管理のために開発された衛生管理の手法です。
食品衛生法の概要
食品衛生法とは、飲食による健康被害の発生を防止するための1947年に制定された法律です。
前回の法改正から15年が経過しており、食を取り巻く環境の変化や国際化などに対応して食品の安全を確保するため2018年に改正が行われました。
周知や経過措置の期間が終了したとして、2021年6月1日から新しい営業許可制度や届出制度等が開始しました。
- 広域的な食中毒事案への対策強化
- HACCP(ハサップ)に沿った衛生管理の制度化
- 特別の注意を必要とする成分等を含む食品による健康被害情報の収集
- 国際整合的な食品用器具・容器包装の衛生規制の整備
- 営業許可制度の見直し、営業届出制度の整備
- 食品リコール情報の報告制度の創設
- その他(輸入・輸出関係)
広域におよぶ “食中毒”への対策を強化
広域的な食中毒の発生・拡大防止のため、国や都道府県が相互に連携・協力を行います。
新たに「広域連携協議会」を設置し、緊急時には、この協議会を活用して対応します。
原則全ての事業者に“HACCPに沿った衛生管理”を制度化
HACCP(ハサップ)とは、原料の受入から製造、製品の出荷までの一連の工程において、食中毒などの健康被害を引き起こす可能性のある危害要因を科学的根拠に基づいて管理する方法です。一般的衛生管理に加え、HACCPに沿った衛生管理の実施を、原則として全ての食品等事業者に求めます。小規模事業者の負担に配慮し、手引き書の作成を進めます。
特定の食品による“健康被害情報の届出”を義務化
厚生労働大臣が定める特別の注意を必要とする成分等を含む食品による健康被害が発生した場合、事業者から行政へ、その情報を届け出ることを義務化します。
“食品用器具・容器包装”にポジティブリスト制度導入
食品用器具と容器包装について、安全性を評価して安全が担保された物質でなければ使用できない仕組みであるポジティブリスト制度を導入します。
“営業届出制度”の創設と“営業許可制度”の見直し
食品を扱う事業に関し、事業者の届出制度を作ります。併せて、現在の営業許可の業種区分を実態に応じて見直します。
食品の“リコール情報”は行政への報告を義務化
事業者が食品の自主回収(リコール)を行う場合に、自治体を通じて国へ報告する仕組みを作り、リコール情報の報告を義務化します。また、このリコール情報を一覧化してHP等で発信します。
“輸出入”食品の安全証明の充実
・輸入食品の安全性確保のために、食肉等の食品のHACCPに基づく衛生管理や、乳製品・水産食品の衛生証明書の添付を輸入要件にします。
・ 食品の輸出のための衛生証明書発行に関する事務を定めます。
“HACCPに沿った衛生管理”を制度化
従来の抜き取り検査では検査体制が弱く、健康被害が起こっていました。HACCPは1960 年代に、宇宙食の安全管理のために開発された衛生管理の手法ですが、優れた衛生管理方法として評価され、先進国では義務化が進んでいます。
Hazard Analysis(危害要因分析) and Critical Control Point(重要管理点)の頭文字をとったもので、食品等事業者自らが原料受入から製品の出荷に至る全ての工程の中で、食中毒菌汚染や異物混入等の「危害要因(ハザード)」を把握した上で、これらを除去、低減させるために特に重要な工程を管理し、製品の安全性を確保する衛生管理の手法です。